ひびろぐ

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

いつだってハードルは高め。

どうしてこんな顔をしているのか。 自分でもわからない。 視線はこっちを向いているのに宙を彷徨っている。 この頃はなんだかずっとしんどかったな。 なんて思いながら写真を眺める。 髪型も顔の形も肌の色も。 すべてが違う。 ほんの数年前なのに。 この頃…

昼は眩しいし夜は外から見えるから。

フウカは窓を開ける。 心地良い風が入ってくる。 カーテンがふわりと膨らんで、フウカの視界を遮った。 淀んだ部屋の空気が生まれ変わる。 新鮮な風に乗って。 心地良い風ばかりではないけれど。 からだを包み込む生温い風も。 からだを突き刺す冷たい風も。…

思っていたのと違うね、って言われても。

思っていたのと違うね。 そんなこと言われてたって。 私はどうすればいいの。 あなたから私はどう見えているの。 勝手な妄想はやめて。 私も知らない私を作り上げないで。 私はなにを言えばいい? どんな部屋に住めばいい? なにを着て、なにを食べればいい…

信じてないけど信じたい話。

流れ星に願い事を3回言うと願いが叶う。 そんな話、誰もが知っている。 でも誰もが、信じていない。 ほら。 誰も星なんて見ていない。 こんな明るい夜空に、星なんて数えるくらい。 夜空よりも星よりも明るいものに誰もが夢中。 願い事がそこにはないことを…

己で問答をくりかえす。

どこからか声がする。 あたりを見渡しても誰もいない。 誰かの声。 聞いたことのある声。 ああしなくちゃ。こうしなくちゃ。 誰かが囁く。 私に似た声で。 どこからか聞こえる。 目の前じゃなく。 遠く遠くから。 今の私じゃない。 私の声に似ているけど、ど…

終わりの続きを知りたくて。

すぐそこにあるのに。 手を伸ばせば届く距離に。 目の前にある映像や文字は、まるでおとぎ話のよう。 つながっているはずなのに。 どこかで断線している。 私の中には入って来るけど。 痛みは感じない。 感情が揺れたとして。流されたとして。 私の立ち位置…

伝わらない気持ちは数知れず。

ユウジはアクセルから足を離し、スピードを落とす。 前方にできたスペースに、左車線から車が入ってきた。 やさしいね。 助手席でスマホ片手にアイナが言う。 そう?別に急いでいるわけじゃないしね。 ユウジがそう言うと、前方に入った車がハザードランプを…

日記のようなもの④

君は新たな道を行くんだ。 ハロー。 どこかの道でまた会おう。 ハロー、って言えば、どこで出会っても通用するらしいよ。 君はこれからどこへ向かうのか。 向かう先をきっと君は知っているのだろうね。 人生が道だとしたら。 確実に君は今、岐路に立っている…

香りは移ろい変わっていく。

ああ、焼肉食べたいな。 ミサは言う。 食べたいな。 ジュンも言う。 にんにくたっぷり入れて。 ミサは笑う。 いいね。 ジュンも笑う。 明日は休みだし。 いいね。 信じられないほど、入れたい。 肉の味がしなくなるほど? そう。めちゃくちゃ臭くなるほど。 …

ジャイアントキリングとは言わせない。

いつだって敵は強大。 知らない誰かがつけたランキングでは、いつも私は格下。 それだけで敵はどんどん大きくなる。 自分の目で見るよりも。 自分の肌で感じるよりも。 強くて大きい。 いつだって敵は強大。 思っているよりも強大。 誰かのせいで、いつだっ…

そこらじゅうが火の元。

どんな小さな火だって火事の元。 火の用心。 尊い火は人々を助け、人々を滅ぼす。 どんなに小さな火だって、大きな火になる可能性を秘めている。 大きな火はもれなく、はじめは小さな火だったのだから。 どこまで燃え広がるのか。 私にも、誰にも、わからな…

立っているのに寝ているように。

すくいたいのに、すくえない。 両手ですくっても、指の隙間からこぼれ落ちる。 いずれは、何もかもなくなる。 すくえた、と思ってもほんの一瞬。 そんなことに今さら気づく。 目を覚ませ。 両手ですくう。 一瞬だけ、すくえている。 それを顔にぶち当てる。 …

輪廻転生のくりかえし。

朝起きたら、今日はがんばる、って決めたのに。 あれやって。これやって。 時間の経過と共に、あれやこれ以外にやらなくてはいけないことがたくさん出てきて。 あれやこれに手をつけることなく布団に潜る。 あれやこれをやらなくては、と思い、後悔し、情け…

未知との遭遇。

音楽を聴きながら笑う君。 何を聴いているの? そう言ってイヤホンを片方借りた。 聞いたことのない曲。 笑っていられるような歌詞ではない。 なのに、君は笑っている。 私の知らない音楽はたくさんあって。 私が知らない感情もまだまだある。 知っているつ…

いつもと違う姿に惹かれ見つめる。

こっちからすれば本番前。 まだまだ準備中。 本番前にちらりと顔見世。 なんだか、裏側覗いているみたいで気持ちが昂る。 今からが本番。 夜の帳が下りてからがあなたの出番。 帳が下りてからが本番だなんて。 なんだか滑稽。 夜になったらカーテン閉めるの…

誰かの仕業でいつもグラグラ。

ライオンがシマウマを追いかけている。 最近、獲物を狩れないでいるらしい。 腹ペコな家族、仲間のために。 生きるために。 がんばれ。 いろいろな駆け引きをしながら、シマウマを狙い、追いかける。 早く。 気づかれないように。 早く。 気づけばライオン目…

あなたにとって〇〇とは?っていう質問はいらない。

私はプロフェッショナル。 誰にも負けない。 誰よりも知っている。 譲れない流儀がある。 いくつかのルールがある。 少しばかりの情熱がある。 私はプロフェッショナル。 少しずつ積み上げてきた。 壊れるときは一瞬で。 それでも、諦めるわけにはいかない。…

短絡的だと簡単に言わないで。

機械に疎いから。 困ったらやってしまう。 なにをやっても、うんともすんともいわないんだもの。 それで直ることもあれば、直らないこともある。 原因はほかにある。 そんなこと言われても。 原因を探せば探すほど。 調べれば調べるほど。 なにも解決しなく…

良いことと悪いこと。

なんだか悪いことが起こりそうな予感がする。 そんなときは決まって、悪いことが起こる。 そんなこと思っているから本当に悪いことが起こるのよ。 どこからか声がする。 なんだか良いことが起こりそうな予感がする。 そんなときに限って、良いことが起きない…

誰かに期待するより自分に期待したい。

期待しすぎるとあとが辛いよ、って。 どこからか声がする。 まあ、確かに否定はできない。 大抵のことはそうだから。 でも、たまに、そうじゃないときがある。 上げに上げたハードルを越えてくるときがある。 だから、期待することをやめられない。 なんだか…

犬の手も人の手にしたい。

ああ、忙しい。 ルイは汗だくになりながら走り回っている。 ああ、忙しい。 ルイは誰に言うわけでもなく言う。 猫の手も借りたい、ってこういうことね。 ルイは手も足も頭もフル回転させている。 ああ、忙しい。猫の手も借りたいわ。 ルイは再び、言う。 そ…

ヘクトパスカル、って早口で言えると気持ちいい。

毎週、台風来るね。 娘がテレビを観ながら言う。 今回のはデカそうだな。 父が娘の隣に座る。 910ヘクトパスカルだって。 昔は、ヘクトパスカル、っていう単位じゃなかったのにな。 そうなの? ああ。たしか、ミリバール、だった気がする。 なにが違うの? …

東西南北の大きなくくりじゃピンとこない。

本当に知りたいことはそこにはなくて。 大切なことなんだろうけど、なんだかピンとこない。 みんなが知りたいことなんだろうけど、なんだかピントが合わない。 流れる文字を眺め。 羅列された言葉を聞く。 上っ面しか知らないくせに、そのたびいちいち感情を…

改めて説明されるとなんだか恥ずかしい。

私、すごい発見したの。 居酒屋でビールを飲みながらA子が言う。 なに? B子は枝豆を口いっぱいに頬張りながら言う。 お風呂に入った時、洗う順番によってその人の隠された本当の性格がわかるの。 隠された本当の性格?なにそれ? 本当よ。結構な確率で当た…

季節が変わるたびに変わりたい。

さらけだしていた肌を覆い隠す。 たまにさらけだしてみても、少し前とはもう違う。 小麦色に染まった肌を脱ぎ捨てる。 湿った肌を脱ぎ捨てたら、乾いてばかりになってしまった。 見た目が少しばかり変わったことに、誰か気づくのだろうか。 自分じゃ、よくわ…

一方通行を乗り越えたら次は進入禁止。

このあたりは一方通行ばかり。 どこもかしこも、進入禁止のマークが。 あそこに行きたいのに、遠回りばかりさせられる。 ここを通っていけば一番近いのに、ここは一方通行。 ここから先は、進入禁止。 遠回りして、ようやく目の前に辿り着いたのに。 ここか…

素晴らしき世界④

みんな笑っている。 それはとても素敵なこと。 それはみんな知っている。 だから、笑う。 笑っているから幸せなんだよ、って笑っている。 でも。 きっと誰もいないところでは笑っていなくて。 それでも誰もが笑っている。 口では、自分さえ良ければそれでい…

小さい方がいい、の方がいい?

やさしいから。 女が言う。 俺、やさしいの? 男が首をかしげる。 うん。 俺、自分勝手にやってるだけだから。それに合わせてくれる君の方がやさしいと思うけど。 そんなことないよ。あなたはやさしい。私はそこが、好きなの。 ふうん。まあ、君がそう思うな…

見えないものと見えすぎるもの。

なんだかいろんなものが見えづらくなって。 なんだかいろんなものにピントが合わなくて。 日常生活に支障をきたすので、眼鏡屋さんへと向かった。 視力検査をしてもらうと、相当視力が落ちていた。 そりゃ、見えづらくもなるよ。 日に日に、見えづらくなって…

絶妙で奇妙なバランス。

この世はきっと砂場のようなものだ。 なにもないところから。 大きな山ができて、大きな川ができて。 それだけじゃ物足りなくなって、大きな山にはトンネルを掘り。 それだけじゃ物足りなくなって。 建物作ったり、道路作ったり。 少しずつ、広げていって。 …