物語ブログ【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

変化球は強い直球があってこそ活きる。

f:id:touou:20190211204057j:plain

いつもの行き道に猫がいない。

灰色の猫が。

きつそうな首輪をした猫が。

毎朝、ここに座っているのに。

 

いつものところに車が停まっていない。

白い車が。

汚れが目立つ車が。

その車の下が猫の居場所だったのに。

 

いつもいたのに。

 

だいたい同じ時間に毎日通るこの道に、猫も車もいない。

暑くても雨降りでも風が強くても、いつもいたのに今日はいない。

 

いつものおじいさんがいない。

夏でも冬でも全身黒い服に身を包んだおじいさんが。

いつも公園のベンチに腰かけてタバコを吸っているのに。

 

角の居酒屋の扉に貼り紙がある。

木造の居酒屋に。

しばらくお休みをいただきます、って。

何度も行ったことがある。

店主は不愛想だけど不愉快ではなく、味は確かだった。

昨日は貼ってなかったのに、何があったのだろう。

 

今朝だけでこんなにいつもと違うことが起こっている。

珍しい。

ほとんどの日は、ほとんど何も変わってないと思うから。

まったく何も変わらないとさえ、思うから。

 

気づかないことはたくさんあるのに、気づくことはいつも少し。

ずっと見れば見るほど、変化に気づきにくくなる。

気づいたときにはもう遅い、ってこともしばしば。

 

良いこともそうでないことも、いろんな変化に気づく人でありたい。

そこは変わらずにいたい。

 

変化することを恐れたらきっとダメ。

私もまわりもずっと同じなんてありえない。

そして、変化することに慣れてもきっとダメ。

当たり前だと思うことが、きっと一番ダメ。

 

明日私はこの道を再び通るのだろうか。

明日も灰色の猫を探すのだろうか。

明日になれば私は何が変わっているのだろうか。

 

晴れても雨降りでも、きっと私はどこかを歩いている。