物語ブログ【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

悲しみは私で喜びはあなた。

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羊を数える。

眠れないから。

 

鼓動を数える。

羊を数えることに飽きたから。

 

頭の中に浮かぶことを数える。

どうせ眠れないから。

 

瞬きを数える。

目を閉じていても瞬きをする感触はある。

 

ため息を数える。

吐き出しているのにからだは重たくなる。

 

歳を数える。

知らないフリが年々上手になる。

 

空飛ぶ鳥を数える。

集団から遅れている鳥ばかり気になる。

 

電車に乗っている人を数える。

不利な戦いに挑んで負けてばかり。

 

目が合った町行く人々を数える。

私はここにいると大きな声で叫びたい。

 

悲しみを数える。

私以外に誰も出てこない。

 

痛みを数える。

いろんなことから事前に逃れる術ばかり覚える。

 

理不尽を数える。

無力さばかりが募る。

 

雨粒を数える。

すべて避けることなどできない。

 

水たまりを数える。

どれが一番深いのか知らないままにする。

 

花びらを数える。

好きか嫌いか決めるために。

 

指を数える。

折っては伸ばし伸ばしては折ってどこまでも。

 

数を数える。

もういいよ、と言われるまで。

 

いくつ数えても、眠れない。

いくつ数えても、物足りない。

 

どこまでも数えることができると思いながら、いつも途中でやめてしまう。

 

私はどこまでも欲深い。

 

数えるのをやめても、また数えはじめる。

 

喜びを数える。

 

あんなに眠れなかったのに、気づけばいつも途中で眠ってしまう。

目が覚めたら、また、数えるためにあなたへ会いに行こう。

 

途中からではなく最初から数える。

 

喜びを数えて、数え切れなくなるまで。