物語ブログ【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

あなたはひとり何を聴く?

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町にはイヤホンをつけた人がいっぱいいる。

 

右を見ても左を見ても。

 

どこを見ても人はたくさんいる。

その中にどこにでも、イヤホンをつけている人がいる。

 

みんな、何を聴いているのだろう。

 

こっそり近くに寄って、耳をすます。

音漏れしているかもしれないから。

 

目を閉じて耳をすます。

でも何も聞こえない。

音漏れはしていない。

 

イヤホンをしている誰の近くに寄っても、何も聞こえてこない。

みんな、そこら辺のセキュリティーとモラルはしっかりしている。

 

みんな、何を聴いているのだろう。

 

音漏れは期待できないから。

勇気を出して直接聞いてみよう。

 

ポンポンポン。

 

イヤホンをして歩く人の肩を叩く。

 

誰もが同じ反応をする。

驚いた素振りで、イヤホンを外し、怪訝そうな顔で、私を見る。

何を聴いてるの?

イヤホンをした人は私の質問に答えることなく、再びイヤホンをつけて、歩いて行く。

 

何人に試しても、誰もが同じ反応をする。

 

そりゃそうだ。

きっと私だって同じ反応をする。

誰も私のことなど知らないから。

 

何だあいつ。

変な人。

気持ち悪い。

〇☆×……。

 

あらゆる罵詈雑言を浴びせられても仕方がないことをしている。

 

それでも、イヤホンをつけた人たちは、私に何も言わずに去って行った。

 

言いたいことを心に留めて。

自分の声が人に伝わらないように。

本当に言いたいこと。

本心は人に言わずに、自分に言い聞かせる。

 

イヤホンを通して、自分の声を聴く。

 

音漏れしないように、セキュリティーとモラルはしっかりと。

 

やさしい世界なのか、そうじゃないのか。

生きやすい世界なのか、そうじゃないのか。

 

外の音を遮断して、イヤホンをつけて聴いてみる。