物語ブログ【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

輪の中心にあるもの。

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いつも遠くから眺めている。

羨ましいな、という思いと一緒に。

 

何を話しているのか。

何に笑っているのか。

何がどうなっているのか。

 

何もわからず、ただ想像する。

 

近づくことなんてできない。

勇気がないから。

リターンよりもリスクのことばかり考える。

 

足が動かない。

あとたったの数歩なのに。

 

頭の中ではいろんなシミュレーションが出来上がっている。

 

あの輪の中へと入りたい。

 

見るだけの輪の中へ。

夢見るあの輪の中へ。

 

いつも願っている。

 

あの輪が私の方へと寄ってこないかな、なんて。

自分で動けない分、あっちがやってこないかな、なんて。

 

そんなことあるはずもないのに。

 

どれだけ待っていても、何も変わらないから。

勇気を出して輪の方へと向かう。

 

少しずつ足を踏み出そうとすると、途中で止まってしまうから。

全力ダッシュで一気に行く。

近づいたら思い切りダイブする。

輪の中へと飛び込む。

 

今まで夢見た輪の中へ。

勇気を出して飛び込んだ。

 

…。

 

…。

 

…。

何か違う。

 

思っていたのと何か違う。

 

人はたくさんいるけれど。

外から見る輪にはたくさん人がいたのに。

 

輪の中に入ると、何か違う。

 

輪の真ん中に入ったら。

何もない。

 

まわりに人が連なっている。

前にも横にも、後ろにも。

 

思っていたのと、何かが違う。

 

輪の中には何もなかった。

輪の真ん中は空っぽ。

 

真ん中じゃなくて、そのまわりが良かった。

隣の人と手をつなげる、まわりが良かった。

 

外から見えていたのは、その部分だから。

 

輪の中に入ってわかることがある。

輪の中に入って見えることがある。

 

輪の真ん中には、何もない。

 

それが、輪、だから。

そんなこと、知っていたはずなのに。