ひびろぐ

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

流した涙はすぐに乾く。

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泣けないから。

 

泣いた方がいいって言われても。

泣けないんだからしょうがない。

 

辛いことを思い出しても。

悲しいことを思い出しても。

 

目頭は熱くなっても、涙がこぼれることはない。

 

最後に泣いた記憶はいつだったか。

涙が枯れてしまったのかもしれない。

 

涙を流しすぎて枯れたのではなく。

涙を流さなすぎて枯れたのなら。

 

なんだか、もったいない気がする。

 

どんなに感動的な映画を観ても、小説を読んでも。

涙を流すことはない。

 

涙が枯れた訳ではないと証明するため。

無理矢理にでも涙を流そうとする。

 

でも、痛いのは嫌だし。

悲しいのも嫌だし。

 

辛いから泣くのだろうけれど。

泣けなくても辛いことはわかってほしい。

 

人として欠陥があるから、なんて言わないでほしい。

 

涙が枯れた訳ではない。

 

それを証明するため、ひとつ考えた。

 

玉ねぎを切ることにした。

 

これなら涙がきっと出るはず。

 

玉ねぎを買ってきて、切る。

ザクザク、切る。

 

出てきた。

涙が出てきた。

 

ほら、やっぱり。

枯れてなんかいなかった。

 

涙が枯れていないことを証明できた。

 

ん?

誰に?

自分に?

 

そもそも何故、涙を流そうと思ったのか。

 

そんなことすら、忘れてしまった。

 

人として欠陥があるのかもしれない。

 

手元には、細かく刻んだ玉ねぎの山。

 

どうしよう。

捨てるなんてできない。

そんな人として欠陥があるようなマネはできない。

 

とりあえず。

ハンバーグでも作ろうか。

 

料理なんてほとんどしたことないけど。

何事もチャレンジ。

 

玉ねぎのおかげで出た涙は、とっくに乾いている。