手のひらブログ【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

過程も査定に入れてほしい。

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どれだけ力を入れても開かない。

 

君が持ってきた瓶。

君が持ってきた瓶のふたが開かない。

 

これ開けてもらっていい?硬くて…。

君がそう言ったら、男としての魅せどころ。

 

しょうがないな感を出して、瓶を受け取る。

 

そこまではよかったけれど。

 

ある程度の余裕を持ってふたを開けようとするが、すぐに余裕がなくなる。

 

おかしいと思ったよ。

瓶のふたを、ひとひねりした時点で、これはちょっと、って思ったよ。

 

これは硬い。

 

君に気づかれたくなかったから。

かっこ悪いところを見せたくなかったから。

 

ふたひねり目からは、全力を出した。

 

でも、開かないんだ。

これは硬すぎる。

 

君の目を見ることができない。

これは自力では無理だと判断したけれど、諦めるわけにはいかない。

 

濡れたタオルをふたにかぶせて滑らないように。

温めたらいいと聞いたことがあるから温める。

瓶の逆さまにして底をポンポンと叩く。

 

知っている限りの方法を試す。

それでも、どうにもこうにもふたは開かない。

 

もういいよ。ありがとう。

君は切ない声と一緒に手を差し出す。

 

でも、これ使うんでしょ?

俺は瓶のふたをコツコツ叩く。

 

うん、まあ、今日はもういいよ。

君は俺から瓶を奪い取る。

 

そう言えば、その瓶って何なの?

ラベルには英語なのか何なのか書かれているけれど読めない。

 

君は濡れたタオルを瓶にかぶせる。

最後のあがきで力を入れる。

 

それ、何の瓶?

 

あっ!開いた!

君は大きな声を出す。

 

おおっ!

俺も大きな声を出す。

この感情は、自分でもよくわからない。

 

よかった。

君はうれしそうに瓶を持っていく。

 

ねえ、それ何の瓶?

 

答えはない。

俺の声が届いていないのだろう。

 

今の俺の存在は、ないも同然だから。