物語ブログ【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

何もしなかったら何も変わらない。

f:id:touou:20190916200315j:plain

 

やかんが泣く。

ピーピー泣いている。

 

放っておいたら泣き続ける。

泣き声が大きくなるだけ。

 

湯気がもくもくと出る。

湯気が広がる。

どんどん、どんどん、広がっていく。

 

あたりは真っ白。

向こう側が見えない。

 

嗚呼。

この湯気の中から誰か出てくればいいのに。

何かしらの願いを叶えてくれる誰かが。

 

そんなはずはないけれど。

願いは自分で叶えるしかないって、学んできたから。

 

でも、もし、今、願うなら。

 

とりあえずコンロの火を止めてほしい。

やかんが泣いてうるさいから。

 

そんなはずはないから。

仕方なく立ちあがる。

コンロの火を消すために。

 

火を止めたら、音がしぼんでいった。

湯気はあたりをふわふわ彷徨う。

 

誰か現れるか。

少しずつ、晴れていく。

願いを叶えてくれる、誰かが。

 

そんなはずはないから。

湯気が消えたら、いつもどおり。

誰も現れない。

 

仕方なく、カップラーメンのふたを開ける。

 

嗚呼。

おなかが空いた。

どんなときでもおなかは空く。

 

泣きたいのはこっちのほうだよ。

それだけ泣けるのが、羨ましい。

 

もし、今、願うなら。

すぐに3分後になってほしい。