ひびろぐ

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

熱の伝わり方と感じ方。

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温もりが伝わらない。

 

君が差し出してくれた手のひらも。

思いやりも。

 

君を抱きしめたからだも。

やさしさも。

 

私自身が絶縁体のように。

なにも温もりが伝わってこない。

 

冷えた空気に馴染むように同化する。

澄んだ空は手を伸ばしても届かない。

 

吐く息はまだ白くないのに、からだは冷えたまま。

 

君は手を差し出し、私の手を握る。

 

あったかいね。

君は笑う。

 

知ってる?

熱は高温側から低温側に向かうのよ。

あなたは、あったかい。

 

私の手は冷たいまま。

笑った君の手が私の手を包み込む。

 

ありがとう。

君はさらに笑う。

 

冷たいけれど、あったかい。

私は君の手を強く握る。

 

あそこの自動販売機でコーヒーを買おう。

もちろんホット。

 

ふたりして白い息を吐き出しながら、一緒に飲もう。